技術選定で、勘に頼らずに決めるには
選び間違えのコストは、選んだ瞬間より「間違いに気づいても戻れない」ときに大きくなります。まず不可逆な部分を切り出します。
進め方
同じ軸で候補を並べる
案 A、案 B、そして制約(チームができること、現在の技術スタック、公開時期)を「二択の意思決定」に渡します。比較軸を四つとその理由、それぞれの最悪ケース、A を選ぶ条件と B を選ぶ条件、最後に自分の状況での明確な提案を出させます。「どちらにも長所がある」で終わらせません。
戻せない判断に印を付ける
計画を「最も高くつく不可逆部分」に貼ります。各判断を可逆・コスト付きで可逆・不可逆に分類し、不可逆なものについては戻すコストがお金、時間、関係、機会のどれかを書かせます。二段階に分けて小さく可逆な版から始められるものを挙げさせ、実行順序も出させます。ここは遅く、他は速く進めます。
失敗した前提で原因を逆算する
「事前の死後検証(プレモーテム)」で、半年後にこの案が完全に失敗したと仮定します。可能性の高い順に五つの原因、それぞれの現在の初期シグナル、今から予防できるもの、失敗確率を下げるために一つだけやるなら何かを出させます。初期シグナルは監視やレビューのチェックリストに直接書ける形にします。
コストが系統的に低く出ていないか確認する
総コストと工期を「コストは過小に見積もられていないか」に渡します。見積もりが低い方向に偏っていないかだけを調べさせ、抜けやすいコミュニケーション、移行、手戻り、研修、コンプライアンス、保守、機会コストを挙げさせます。各項目に規模と根拠を求め、一時コストと継続コストを分けて年換算し、保守的な値と最悪値を出させます。この案をやる価値があるかは評価させません。
始める前に、いつ止めるかを決める
最後に「開始前に退出条件を決める」で、観測できるシグナルを三から五つ定め、確認時点、しきい値、判断する人を付けます。「一時的な不調」と「方向の誤り」を区別し、退出時に投じたものをどう残すかを説明させ、規模を縮めて続ける中間案も出させます。結論は会話だけでなくプロジェクト文書に残します。
使うプロンプト
よくある質問
技術選定を AI にそのまま決めてもらってよいですか
明確な提案は出させて構いませんが、先に制約を伝える必要があります。チームができること、現在のシステムの姿、どこまでの最悪ケースなら耐えられるかです。返ってくるのはその制約に基づく提案で、社内の経緯や人間関係は含みません。
過剰設計かどうかは、どう判断しますか
今ある問題を解いているか、想像上の問題を解いているかで見ます。ステップ2で、二段階に分けて可逆な小さな版から始められる部分を切り出します。その小さな版で足りるなら、全体設計は過剰です。
選び間違えたらどうしますか
そのためにステップ5があります。観測できる退出シグナルと判断する人を前もって決め、出たら止めます。投入が大きくなりすぎて誰も止められなくなるのを避けます。退出条件は開始前に書き、後から決めるとたいてい手遅れです。