「なぜ」を五回
症状から仕組みまで下りる。「不注意」で止めない
次の問題を「なぜ」の五回で根本原因まで追ってください:[問題の症状を記述]。ルール:1)各層で最も可能性の高い原因を一つだけ、「X だから Y」の一文で書く;2)各層のあとに根拠の強さ(データあり/推測のみ)を明記する;3)根拠が足りない層では無理に進めず、一週間以内に実行できる確認作業を示す;4)五層で止め、因果の連鎖を出力し、実際に手を打てる層を明示する。
使い方
三層目あたりで「注意力の問題」に滑ります。根拠の強さを書かせると、その滑りを止められます。
向いている場面
- 同じ問題が今月三度目(障害、納期遅れ、手戻り)で、毎回「次は気をつけます」で終わっているとき
- 改善策(研修を増やす、当事者意識を高める)は並んでいるのに、どれが連鎖のどこに効くのか誰も言えないとき
向いていない場面
- まず収拾すべき単発の問題(一件の誤請求、一台の故障)で、根本原因の追究は後回しにできるとき
- 参照できる履歴がなく、「なぜ」を重ねると個人の動機の推測になってしまうとき
例
入力
リリース後に決済成功率が 98% から 91% に落ち、再起動で復旧しました。これで三度目です。
得られるもの
コールバックのタイムアウト→リトライ処理の滞留→キューの上限まで占用→台数は増やしたがキュー容量は増やしていない→キャパシティレビューでリトライを見込んでいなかった、という層まで下り、各層に実測か推測かのラベルを付けます。三層目にログがなければ、原因を創作せず、今週実行できるログ追加の確認作業を示します。
よくある誤用
- 「なぜ気づかなかったのか」と人を問い詰める形になり、返ってくるのは機制ではなく言い訳になる
- 五層すべてを推測で埋めると、連鎖は揃って見え、手を付けやすい所だけが直される
こう変えると効く
- 「どんな条件が同時に揃えば起きるか」に変える。複合要因の事故には単一の連鎖より合う
- 「もし当時 X をしていれば起きたか」という反事実を足し、根本原因と背景条件を分ける