反対意見を最強の形に書く
藁人形ではなく、相手の最良版を書く
私の立場は:[立場]。反対側の最強版を書いてください。私が反論に困るくらい強く:1)まず相手の語彙で私の立場を言い直し、歪みがないか確認;2)最も効く反対理由を 3 つ、態度ではなく証拠かメカニズムを添えて;3)私の立場が確かに成立する条件と、その条件が崩れうる理由;4)反対側の最も弱い環を指摘し、私が応答できるようにする;5)この対立が事実・価値・利害のどれかを判断する。
使い方
読んですぐ反論せず、まず相手に送って「これが最強版か」を確認する。
向いている場面
- 会議で人を説得しないといけないとき。相手の主張は正確に言い直せるのに、それでも「なぜそう考えられるのか」が分からない場面。
- 重要な決断の前に、自分が弱い版の反対意見と戦っていないかを確かめたいとき。特に SNS で流通している版に対して。
向いていない場面
- 相手の本質的な関心が、意見の正しさではなく取り分の配分にあるとき(昇給交渉、予算の取り合い)。どんなに強い論証でも相手は譲りません。
- 自分が正しいと確認したいだけのとき。steelman は「強く見えるが反論の仕方は分かっている」版を選ぶ作業になってしまいます。
例
入力
私の立場は、リモートを既定にし、オフィスは協働が必要なときだけ使う、というものです。
得られるもの
まず出社派の語彙で私の立場を言い直してほしい(新入社員の立ち上がりの速さ、暗黙知の移転、弱い紐帯の形成)。歪みがないかの確認も込みで。そのうえで機序のある反論を 3 つ——最初の半年は新入社員の生産が落ちる、チームをまたぐ弱い紐帯が減ってイノベーションが減る。さらに、リモートが「シニアで独立した貢献者」には確かに成立すると認めたうえで、これが事実の争いか価値の争いかを判定する。
よくある誤用
- 「最強の反対意見」だけを求めて、自分の立場がどんな条件で成立するかを検証しないこと。返せない攻撃ばかり集まり、不安だけが増えて判断は変わりません。
- steelman を喧嘩の予行演習として使うこと。相手がなぜそう考えるのかを理解せず、反論の文言だけを用意してしまいます。
こう変えると効く
- 「反対側の最強版を書いて」を「書き終えたら、その中で私がすでに密かに受け入れているのはどれか教えて」に変える。討論から自己点検に変わります。
- 「この対立で双方が共有している事実は何か」を足す。合意点を先に囲い込むと、残りが事実か価値かを見分けやすくなります。